3.《ネタバレ》 イ・ビョンホンは、ハンサムなだけでなく、動作の美しい俳優なのだが、この映画では、アクションもなかなかのものである。ストイックさの中にセンチメンタルな内心が透けて見える演技がいいし、まあ、とにかくかっこいいの一言。
シン・ミナは、ヤクザの愛人というイメージからほど遠く、陰惨な暴力の中で、そののびやかな雰囲気が異質であればあるほど、よかったのだと思う。最初に足が写り、顔が写るが髪の毛で隠れていて、初めて顔がはっきり写る瞬間のまなざしが、カチリと音がしそうな感じで印象的。
と、出だしはよかったのだが、ラストに近づくにつれ、「あんたはターミネーターか」と言いたくなるようなイ・ビョンホンの超人ぶりに驚いてしまい、理不尽にすべてをもぎとられた男の哀切さなど、ふっとんでしまった。
神話のエリックがカメオ出演のように出てくるのだが、韓国の観客はおっと思っただろうが、なんのための役なんだか、さっぱりわからなかった。ラストシーンもどうも蛇足のような気がしたし、スタイリッシュな映像ほど、脚本のほうはすっきりいかなかったようで。