12.《ネタバレ》 「盗撮テープが送られてくる」という筋書きから引き込まれる。
しかし、ハネケは犯人探しには興味なく、誰にでもある忘れ去りたい"疾しさ"を抉り出したいようだ。
無意識に葬った罪の記憶。それを洗い出す過程で最後まで流れないBGM、
盗撮映像と同化した長回し撮影によって、弛み切った辺りで挿入される中盤の自殺が最大限に発揮され、
焼き付けられる死の瞬間と後悔を刻み付ける。
背景には、かつての宗主国フランスとかつての植民地アルジェリアの関係が大きい。
移民問題で露わになった憎悪が原因か?
しかし、ギクシャクした親子関係も影が深く、それを象徴するのがあのラストシーン。
息子同士の共謀なのか第三者による盗撮なのか分からないまま、正体不明の悪意が最後までひた歩く。
観客の心にそっと囁くように……
フランスとアルジェリアの確執を持ち出しても日本にはピンと来ないだろうが、
日本人と在住朝鮮人の関係に置き換えれば、意外と分かりやすい部類かもしれない。
どちらが真実かはこの映画同様、"隠されたソレ"(=Caché)でしかない。
では、あなたの黒歴史は?