6.《ネタバレ》 映像・美術先行のような作品ですね。普通の中世の政治がらみの物語を見たかったので、クセが強くてとっつきづらかったです。
舞台は中世くらいなのに、車にバイク、冷蔵庫、マイク、ウォークマン、タバコ、現代を象徴するものが次々登場。シェイクスピアの『タイタス』のストーリーを追う一方で、独特なアートな世界に巻き込まれます。現実感がなく、くだらない御伽噺につきあわされているような気分になります。
それに、舞台劇のような科白の言い回しが少々うっとおしく感じられます。割と何度も似たようなことばかり言っているんですよね。上映時間が長すぎるのもそのせいのような気がします。
ただ長尺にも関わらず、最後まで目が離せなかったのは事実です。だとしたら、好みに関わらず見る人をひきつけるだけの力をもった映像作品ってことですね。ですから好きな人にはたまらない映画だと思います。
あまりに理不尽なエピソードが続くので、タイタス一家の復讐劇に最後はある種のカタルシスを得られます。ですが冷静になって振り返ってみると、タイタスの身から出た錆だと言えなくも無いストーリー。息子の一人は自分で刺し殺しちゃってるし、ラヴィニアをサターナイアスに献上しようとしていたし、よく娘や息子の幸せを願っているなんて言えたもんです。こーゆー作品って、そういうとこつっこんだらだめなんですかね?なんかもうよくわかんないです。これだから文学作品は肌に合わない・・・