11.《ネタバレ》 これは……「設定は好みだけど、結末が好みじゃなかった」ってパターンの品ですね、残念ながら。
メインヒロインかと思われたジェニーではなく、女友達のハンナと主人公が結ばれる形となっており、どうもスッキリしない。
この手の「女友達と結ばれるラブコメ」って好きな映画が多いはずなのに、本作に限っては違和感が大きくて楽しめなかったんだから、自分でも不思議です。
理由を考えてみるに、根本的にハンナの魅力が不足していて「メインヒロインではなく、この子と結ばれて欲しい」と思えなかったのが痛いんですよね。
ジェニーは性格に難ありの美女ってタイプなんだから、対比としてハンナの方は性格が良くて優しい子にすべきだったと思うんだけど、何かそれが中途半端というか……作り手の考える「優しい子」の定義が自分とズレてる気がして、魅力を感じなかったんです。
例えば「主人公のマットにだけ優しくて、男友達のヴォーンには素っ気無い」っていう態度があからさまな辺りとか、それで嬉しくなっちゃう人もいるんだろうけど、個人的には興醒めしちゃいます。
これって根本的には「優しい女性」というより「主人公にとって都合の良い女性」ってだけですからね。
(見た目は美人だけど、性格美人って訳じゃないんだな)って、つい思っちゃいました。
そもそも主人公のマットにも魅力を感じなくて、主人公カップルの片方ではなく、両方を好きになれないってなると、流石に褒めるのは難しいです。
ジェニーの陰口を言うマットの姿とか「身勝手で性格が悪い、嫌な奴」としか思えないんですよね。
にも拘わらず「貴方みたいに優しい人は初めて」だの何だのと、作中で女性陣に絶賛されてるんだから、観ているこっちが恥ずかしくなっちゃう。
マットの代わりにジェニーと結ばれる事になるバリーも「家の中にジェニーの写真や服を飾った神殿がある」っていうストーカーとしか思えない男なのに、ジェニーはそれを聞いて拒否感を示すどころか、感激しちゃう始末だし……
男にとって都合の良い映画は嫌いじゃないけど、本作に関しては「性格が悪い男」でも「ストーカー」でも美女と結ばれるんだって形になっており、流石に感情移入出来ませんでした。
何だか、こうやって分析してみると「結末」以外にも好みじゃない部分の方が多いなって気付いちゃう訳ですが……
一応、監督はアイヴァン・ライトマンだし、演出や音楽の使い方も良かったので、観ていて退屈はしなかったんですよね。
アメコミのスーパーガールやパワーガール好きにとっては、夢のような映画ってのは間違いないと思うし、コスチューム姿でエッチする場面がある辺りなんかは(分かってるなぁ)と嬉しくなっちゃいます。
2006年制作である事を考えれば、もっと自然な飛ばせ方も出来るだろうに、あえて冒頭の場面にて「スーパーマン」(1978年)っぽい飛ばせ方をしているのにも、拘りを感じました。
そして何より、主人公と結ばれたハンナも超人的なヒロインとなるオチであり「スーパーヒロインを恋人にする」という男の夢を裏切らないまま終わった事には、素直に感心しちゃいましたね。
物語の面白さや整合性よりも「夢」を優先させた映画……と考えれば、素敵な一品だと思います。