4.《ネタバレ》 原作は未読。伊坂作品のいかなる作品の1ページも読んだことはない。
原作未読のためか、終始ズレを感じてしまった。
47年近い時間のズレを製作者は懸命に表現しようとしたのかもしれないが、それが上手くマッチしてないという印象。
難しいところだが、時間のズレなどは思い切って無視して演出してもよかったのではないか。
詰まらないことに監督はコダワリを持ったようであり、観客からするともっと他の事をきちんとして欲しいと言いたくなる。
また、ステレオタイプ型の表現が多く、それが違和感を与えているばかりか、全体的に表面の部分をすくったようにしか思えないために深みを感じられない。
さらに“死”を問い切れていないように思えたので、高く評価することはしにくい。
死神の立ち位置も曖昧のような気がした。
死神よりも、ある意味で藤木さんの方が達観しているのには違和感を覚える。
ラストでは成長しているようには感じられるものの、死神としての成長を描くということも重要なことではないか。
死神は全てのことは知っているが、人間の感情を理解していないということといった設定を付加するとよかったかもしれない。
そういう意図は込められていたようだったが、雨が止まないのは、死神としての途中の状態であり、人間の感情を理解して初めて一人前の死神になれるというようなことでもよかったか。
一人の女性を描くのならば、『なぜあの時に殺さなかったのか』ということをもう少し問うてもよかっただろう。
生き続けることによって、不幸で苦しい思いをしたことは間違いないが、生き続けることによって、素晴らしい経験もできたということを藤木さんに伝えてもよい。
映画内では、藤木さんの方で自己解決してしまっており、死神をただの使い走りにしているのはちょっと違うのではないかという印象。