1.3カ月くらい前に見た。見終わって何ともドヨ~ンとした感じで、感想を書く気になれず放置していたのだが・・・。最近のテレビ映像を見て何となく頭が鮮明になった気がした。というのも、今年も、9.11からウン年というのが例によって報じられていたが、それら報じられる映像が、この映画の映像と見事にダブることに驚愕したからだ。もちろん映画での設定は不明、というより仮想戦場でしかないのだが。荒涼とした乾燥地帯を土地勘のない米兵がおっかなびっくり機関銃を構えつつ隊をなして移動していく様は、そのまんま、この映画の映像である。そして、唐突に訪れる爆死。映画ではさらに現地のゲリラによる凄惨なリンチ(もちろん、原因はリンチされる側にある)も克明に描かれるが、恐らく、アフガンやイラクでも似たようなことはあったのだろうと容易に想像できる。だが、この映画のイヤなところは、それらを、何の感情もないかのごとく、無味乾燥に描写しているところだ。セリフはほとんどなく、音楽は全くなく、淡々と、なんてものじゃない。無機質な感じが貫かれ、一層凄惨さを増す。そこにあるのは絶望だけ。いわゆるサンドイッチ構成で、最初と最後の寒村での、これまた無機質な、しかし生臭い男と女のやりとりとの対比が、死と生を象徴するかのように際立ち、何ともいえない寒々しさである。感動はしない、けれど、ゾワゾワさせられる。決して後味は良くない。全体的に抽象的で、恐らくは反戦がテーマなのだろうが、そんな深読みも無用だと思う。