1.《ネタバレ》 十字架は美しい。なぜなら十字架は「痛み」を通過しているから。本物の「美」とは「痛み」を通過したもの。らしい。芸術家は猟奇殺人犯となり作品に「痛み」を与え「美」を完成させる。その男に同化したジョシュ・ハートネットの役どころは「美」を知る者といったところか。地獄を見てきた末にマフィアのボスとなったイ・ビョンホンは癒しようのない「痛み」を抱えて生きている。木村拓哉は全ての「痛み」を受け入れる現代のキリスト。つまり「痛み」を抱え続ける者と「痛み」を受け入れる者の拮抗を、そこに「美」を見出す者というSM的な感受性を持った男が見て興奮する物語、なわけないが遠からずではないか。にしても十字架にはりつけはともかく、「ファザー!」とか「許す」とか“僕キリストです”てのが露骨すぎ。「美」といえばトラン・アン・ユン監督の十八番。監督が自らの武器であるところの映像の美しさについて、上っ面の「美」じゃないよと宣言しているかのよう。