6.《ネタバレ》 オープニングの空のワイプ映像、パッキングの模様やスーツケースを短いカット割りで繋いで行く映像効果に余り魅力を感じられず、同様に魅力の乏しい登場人物が織り成す話にも入り込め切れなかった印象の作品でした。
大学で心理学を専攻し首席で卒業したというナタリーも彼女の会話からそれを感じさせてくれるようなものはないですし、主役のビンガムも独身を謳歌しているやり手のビジネスマンで交渉相手の幸福度と彼への評価の高さが反比例する仕事の内容などで観客の感傷を誘う方法など少し前時代的な古さとありがちとも言える人物設定となっていたと思います。
一般的には副産物でしか無いマイレージをステータスと考え、超一般的とも言える家族や結婚というものを否定的に捉えているビンガムの生き方は価値観は人それぞれなので全然否定はしません。
近親者の結婚やアレックスとの関係の顛末など彼にしてみれば小さなイベントの1つや2つではないかと考えてしまいますし、そうでなければそれ迄培ってきた自由を愛し感情を極力排除してきた彼の生き方という設定に疑問が生じてしまいます。
逆にそれらの事柄が彼のストイックとも言える生き方を変える程の描かれ方をしていたようにも感じられませんでした。
彼の感情や考え方の変化の見せ方や動機付けが弱かったように思います。
仕事と家族の絆との葛藤といったようなハリウッド的なテーマやそれなりの域を出ない映像表現、結末を描かない脚本等、まさにありがちな作品という印象でした。