7.《ネタバレ》 勢いや迫力というものを非常に感じる作品でした。役者さんが単に演じているというよりも、自分の進むべき方向を理解していて、熱く激しく演じているという印象でした。
パニック映画としては話の設定や緊迫感などは楽しめましたが、サスペンスとしては脚本が雑に感じました。
見終わった時の高揚感と同じ位に、その雑な印象が残ってしまい残念でした。
また、運転指令長の倉持が国鉄の良心の様に描かれていますが、総局長のゼロ地点停止に対する彼の異議は正しかったのでしょうか。
現場指令責任者として異議を唱えるのならば代案を提示するべきで、彼にはそれがあったのでしょうか。
あの時点で、指示通りにしない警察に対して犯人は電話をしてくる可能性は?
仮に犯人から電話があり「爆弾は1つだけだから止めても大丈夫だよ。」と言われても信用できるのか(爆弾脅迫犯が信用足りうる人物なのか)。信用しない場合は国鉄・警察側で2つ目は無いという事を停車するまでに証明出来るのだろうか?
電話が無い事を見越して、福岡到着までに自力で2つ目の爆弾を発見して解除できる見込みがあるのか?
仮に2つ目の爆弾があったとして、それを解除出来たとしても3つ目の爆弾が無いという保証があるのか?
これらを鑑みると、何処かで必ず新幹線を停止しなければならないのだから、ゼロ地点停止か、否かの決断はどちらにせよギャンブル的要素が含まれると思います。そうなると、無駄な二次災害の可能性を避け、田園地帯でのゼロ地点停止は正しかったのではないでしょうか。
倉持の考えは、単に決断の先送りのように見えてしまいます。
責任者の仕事は、状況を的確に判断し、決断を下し、その結果に責任を取る事だとしたら、彼は一つも出来ていないと思います。
司令室で指揮を執っていたにも関わらず、状況を把握できずに、決断は総局長に押し切られ、しかも彼に「私が責任を取る。」とまで言わせています。
倉持は感傷的に辞職願を申し出ていましたが、私が上司だったら更迭です。責任者の器では無いと思います。