1.《ネタバレ》 なんだか騒がしい映画。もう少し「静かな映画」を見たかったのですが、それはデカい音=いい音だと思っているかのような新宿バルト9の再生環境のせいばかりでは無くて。私としてはベタな感動物語を期待していたんですけど、基本はサーフィン映画なんですよね。音楽ガンガン聴かせてカッコつけた編集でカッコいいサーフィン映像を見せてナンボっていう。で、一方で冒頭から病院に運ばれるまではB級ホラー。若者達の姿を点描して海の中の「何か」を少々引っ張った上で鮫に襲われて、って。ホラー的音楽だけでなく、明らかに『ジョーズ』から手法を引用していて。そしてヒロインがサーフィンをしている部分のアップはデジタル合成+CGI丸出しの、そこだけイメージショットの如き世界になる、と。なんだかバラバラの要素をそのまま繋げた映画って感じ。なのでこの映画の大切な要素の1つ、海に自由を奪われたけれどそれでも海を愛するって部分が他の様々なノイジーな要素にジャマされ続けるという。この映画、ほぼ全編波の音が聴こえているのですが、その波の音をヒロインと海との対話に対して重要なソースとしてあまり使ってないんですよ。何しろその上にガンガンと音楽乗せまくりですから。もう1つの大切な要素、家族愛はそれぞれのキモチや立場を描いていて良かったと思います。アナソフィア・ロブはこれまでの象徴的ヒロイン演技より進んで喜怒哀楽全てをぶつける演技で存在感を示してましたけれど、中盤以降ひたすら映像にデジタル処理が入り続けるという特殊性からか、片腕を失ったゆえのぎこちなさとは別のぎこちなさが生まれてしまっていた気がします。ラストの実在する人々の映像は、実話であった事を映像で実感するがゆえの感動で、映画そのものの感動とは全く違うモノですしね。落ち着いた感動系を期待するよりもアメリカ的なポジティブスポ根映画として見るのが吉って映画でした。