1.《ネタバレ》 キャンディーズのランちゃんのファンでした。グループ解散後の最初の仕事がこれじゃなかったかと記憶している。それで、ずっと気になっていたのにこれまで縁が無かった映画です。観賞後の率直な印象は、ちょっと観るのが遅すぎた、ということ。この頃の大森一樹にはまだ自主制作映画の匂いが残っていて、本来は新鮮に映るはずなのに、それが違和感になってしまった。失敗しました。医学生たちの日常を切り取っているけれど、特別なことはほとんど何も起こらない。唯一、心情を行動に移したのは白衣を黒く塗って暴れた古尾谷雅人。どうやら医師の聖職性に疑問符を付けたかったようです。現代に照らすと問題の置きどころに違和感を覚えます。この映画が製作された頃は、医者は崇高は人格者であれと期待されていた記憶がある。大森監督は元医学生ということもあり、医者にも普通に悩みがあり、特に医学生はまだまだ青いってことが言いたかったのだと思います。そのテーマも基本的には内面の問題意識で、そこには強い社会性も無ければ、60年代の青春映画のような発散もない。妙に自己完結しているところに80年代初頭の空気を感じる映画でした。エピローグの伊藤蘭の自殺には驚いた。そんなことにするのなら本編でもっと突っ込んで欲しかった。というか、もっと出番を増やして欲しかったですね。古尾谷氏は惜しいことになりましたが、共演者のほとんどが現在も活躍中で、彼らの30年前を観るのは楽しかったです。余談ですが、相当に古い映画なら「時代劇」的に楽しめるけれど、自分の思春期に作られた青春映画を何十年も経てから観るのは難しいものですね。視点の置き所が定まらない。