3.「アウトロー」という思わせぶりな邦題になったのは、なじみがない日本人にも興味が持てるタイトルにしたかったという配給側の戦略なのでしょう。
しかし実際映画を観てみると、この邦題は本編のイメージとはそぐわないものでした。
「アウトロー」とは「無法者」であり、「危うさ」を感じることばです。
しかしこの映画に出てくるトム様演じる主人公は全然危険な印象がありません。
それどころかわりといいやつでした。
彼は定職にもつかず、宿はなく、必要最低限のものしか持ち歩かないニート・・・ゲフンゲフン寅さんのような男で、悪をくじき弱気を助けるいい感じのヒーローなのです。
しかも口ではなんだかんだ悪態はつくけど、実は知り合った者のことを何よりも想っているというツンデレぶり。
トム様が演じる新しいキャラクターとして、かなり好きになれました。
ストーリーはシンプルで、トム様と相棒の女性弁護士が突如起こった銃乱射事件の真相を突き止めるというものです。
冒頭のスタイリッシュかつ衝撃的な事件のシーン、それを反芻して見せるなど、「謎解き」にかかわる画はとても面白く、見ごたえがあります。
派手さはないのでトム様のアクションを期待すると肩すかしでしょうが、この大衆向けの映画とは思えない落ち着いた雰囲気も気に入りました。カーチェイスも迫力満点です。
そんな感じで前半は非常に楽しめたのですが、後半はびっくりするくらい面白くない。
展開がいくらなんでも雑すぎだし、目新しさはないし、悪役は魅力がないし・・・勢いでごまかそうとしているようにしか思えず、ラストバトルの無茶さはもう失笑モノでした。
ここまで最後に行くにつれてテンションが下がってしまうのはある意味貴重です。
トム様の50歳とは思えないステキな上半身裸が拝めるので、ファンは必見ですよ。