4.《ネタバレ》 ピアノ講師として生活していた瑞希。突然3年前に失踪した夫が死人となって現れる。
失踪中、優介が世話になった思い出の地に旅立つ瑞希。
死後も新聞配達を続ける島影。廃墟となった彼の事務所に、瑞希はどう思ったのか。…この辺で“瑞希も実は死人なのでは?”と思った人もいるのでは?
教え子の母親にダメ出しされ、孤独な死を迎えた彼女に、死んだ優介が会いに来る。旅の途中、優介が話しかける駅員も、電車の親子も死人。
死を受け入れていない瑞希は、島影の事務所が廃墟になっているのが見えて驚く。だけどそれを優介に問いただしたりしない。
…それだと、何となく辻褄が合うかな?と思ったら、次の中華料理屋は「俺と違って瑞希と同じだ」という。生きている人?
死者と生者が共に暮らす世界だとしたら、どうして優介は3年も戻らなかったのか?
瑞希の寝起きから始まる帰宅、どれだけ家を留守にしたのか、貯まった手紙に枯れた植物。なぜ、手紙も見ずに寝たのか?
朋子に「優介は生きている」と嘘を言う瑞希。「想像通りの奥さんで拍子抜け」朋子の憎たらしさ。
農村で突然、光だビッグバンだの科学の話。…面白いかもしれないけど、あんな多くの老若男女が興味を持つ話題だろうか?
滝で父親が言う「アイツがお前にしたことと言ったら…」「あの男の事は忘れろ」????
これは、やはり瑞希も死んでいるんじゃないだろうか?死者と生者の話ではなく、すべて死者なのでは?
死を受け入れていない地縛霊と、優介のように受け入れても成仏できていない霊たちの話だとしたら…
そして行き先が、簡単に言えば天国と地獄があって、中華料理屋の夫婦は、瑞希と一緒で天国に行ける地縛霊。
優介や朋子、農家の息子はきっと、地獄に行く地縛霊。中華料理屋の妹や瑞希の父は、もう成仏した霊。
瑞希が死なないと優介は現れる事ができなかった。瑞希の帰宅が寝起きから始まる=霊の移動はバスとかでなくても出来る。
優介は、農家の息子が妻にしたように、瑞希を自分の行く地獄(?)に連れて行こうとした。
だけど心変わりをする。あれ程拒んでいた性行為は、別れの儀式的なものとか。
…と考えれば、このモヤモヤした話はストンと落ちないだろうか?生と死の別れの話でなく、死後の天国と地獄の別れの話。
…こんな時間にお酒飲みながら書いてるから、自信は無いけど、“岸辺の旅”の岸辺って、三途の川の川岸の事とか。