3.《ネタバレ》 どういう作品かよく知らずに見始めて、またこれまで同様にパージが描かれるシリーズの一本か、ぐらいに思ってたらそうではなくって、時代は遡ってパージ制度導入の頃が描かれてます。社会の分断が人々を自衛に走らせ、過度な自衛がまた社会を分断する、というこのシリーズ、未来のディストピアを描いたつもりが、予想以上に早く、現在の現実社会が映画に追いついてきてしまったので、映画の方から時間を巻き戻して現実社会への批判を正面衝突させよう、ってことなんでしょうか。
もはやパージでも何でもなく、ただの殺し合い。殺し合う人々と、それをモニタ越しに観察する人々との間の分断は、もはやひとつのシステムとなり、分断は結束に繋がることなく、新たな分断を呼び起こす。
しかしこの作品の前日譚たる設定、なんだか作品の枷となってしまってて、批判臭こそ漂えど、作品の限界を感じさせもします。いっそシリーズから独立した別作品にしちゃった方がよかったのでは。後のシリーズに繋がる内容、つまりパージ法がこの後導入されることは作品の縛りになってて、ラストでは絶対に「革命」なんか起きっこないことが、わかっちゃってるもんね。いや、実際にラストで「革命」が起きるかどうかではなく、起きるかも、と思わせるだけで充分。希望があればこそ絶望があり、絶望があるからこそ希望がある。
それはそれとして、無法状態の一夜、それがおしなべて暗い画面の中に、時に光を交えながら描かれます。雰囲気はいい、かもしれない。でも、この暗さの中で、アクションはいささかゴチャゴチャし過ぎ、ちと見にくい。終盤の階段での乱闘は、ちょっと良かったけど。
登場人物の配置なんかも魅力的な部分はあるのですが、やや消化不良かと。