2.《ネタバレ》 ホラーと言うには(全編通しても)そーいう描写が少なすぎるコトも含めて、ソッチのジャンルだとしてもかなりミステリ寄りのホラーorスリラーかと当初から見えてはいるのですが⇒催眠術という実際的なキーワードを考慮するとどっちかと言えばスリラーかな…とも、最後まで観ると結果的にはその辺を通り越してモ~「魔法使い」系と言って好い様なダーク・ファンタジーみたいなお話なのですよね。しかしその意味では、なんか最初の方から随分と陰鬱・かつ随所で「ゴシック」な風を大いに醸してる雰囲気づくり(⇒メリー・ゴー・ラウンドというモチーフをはじめ、音楽とかセット・小物の感じとかも)とは、その辺が実は好く整合してたのだな…とも少し感心しましたし、ミステリの側面の「トリック・仕掛け」の純粋な質もそんなに悪くはなかったかな…とも。オーラスのタイトル回収も、個人的には特に嫌いではないのです(そのトリックのキレ味のみに限れば)。
ただ……そーは言ってもクライマックスのその「ドンデン返し」の部分の展開には、率直に違和感や納得いかない感の方が相当に強く感じられた、とも言わざるを得ないのですよね。正直なハナシこの部分はツッコミどころの乱れ打ち!てな惨状だったかと思いますが、一つだけ、個人的にどーにも納得がいかなかったのがラスボスの玉木宏のキャラ設定とか諸々なのですよ。あんな人間離れした「術」を擁して、かつ目的の為・家族の為なら一切の躊躇無くソレを使って何十人という人間を手に掛けて来た…てのは、重ねてもはや「人成らざる」と言って好いレベルの悪魔的存在だと思うのです。結局、ごく善なる主人公がそんな恐るべき怪物と実の親子であるコト自体に加え、彼を最後に倒すのもまた実の娘だ、といった辺りに係る主人公側の葛藤が何一つ描かれないのは流石にちょっと違和感が在り過ぎると思ったのがまず一つ。もう一つとしても、またそんな恐るべき玉木宏とて、本作では(児童虐待のお話を脇に置けば)ひたすら家族の為にその能力を行使している…とゆーのも、ココまで「振り切った悪」の行動としては少し違和感が強いと思いました(ココにもやはり躊躇や葛藤が少しも絡んで来ない…が故に)。
結論、アイデアやコンセプトは比較的しっかりしている作品にも思えましたが、肝心なトコロが全体的にちょっと「雑」ですかね(ある種、ちょっと「チープ」だとも言えます)。先ほどゴシックな雰囲気が好みだった…とも言いましたが、結局ラストがこんな安っぽい感じなんだったら最初からもっとフツーにドンドロドロドロなホラーにしちゃえば好かったかもな…とすら思います。やや残念な感じの方が強い作品ですかね。