4.《ネタバレ》 やり尽くされた感のあるサスペンスやミステリーといったジャンルにおいて、こういうシチュエーションを発想した事は斬新。
ただ、そのアイデアを活かしきれずに終わっているのが非常に残念。
オチ以外は、ひたすら友人たちの盗撮シーンから、お互いの醜い人間性が露呈されていくだけで、ストーリーらしいストーリーが無く、中だるみしているし、その暴露話自体、基本的にラストのオチとは無関係。つまり上映時間の大半を占める盗撮シーンが、オチへの伏線としてまったく機能していないのだ。
犯人の告発だけが目的なら、最後のシーンを警察に見せるだけでいい訳だし、あえて他の友人関係まで破綻させる必要は無い(他の友人たちは殺人に加担してない訳だから)。この辺に意外性が無いのが惜しい。
例えば、犯人が分からないから(肝心の顔がフィルムに映ってなかったとか、複数の人間が関与していそうな疑いがあったから)、こういう盗撮フィルムの上映会を開いて、挙動のおかしい犯人を炙り出す目的があったとかいう展開なら、途中も緊張感が持続しただろうし、犯人探しの面白さも増したはず。
盗撮フィルムに映し出される赤裸々で醜悪な本音を暴露させることで「人間関係の本質」が見えてくるという深いテーマ性を備えていながら、その見せ方が中途半端なのが最大の難点。もったいない。