1.カツシンとマイケル・ムーアを足して二で割ったようなジョン・キャンディ(本作が遺作となった)主演の本作。「アメリカがソ連崩壊後の仮想敵国としてカナダを選ぶ」というアイデアは秀逸だし、ムーア独特の皮肉・毒舌は冴えていて、まるで今の世界状況を予見するような台詞もある。のだけれど、純粋にコメディ映画として観るとちょっとモタモタしている所もあるし、微妙な所。聞いた所によるとマイケル・ムーア自身もこの作品に関しては不満も多かったらしいし、興行もコケたらしい。しかしおそらくムーアはこの作品で自分の得手不得手を認識して今のやり方に至ったのだと思う(というか、現実に起きていることの方が中途半端なコメディよりもよっぽどトンデモであるという事に、ムーアは気づいたのだろう)。そういう意味では「失敗は成功の母」を体現している作品、かもしれない。