2.《ネタバレ》 画質の荒いオールド・アニメ。へたくそな作画、動きになめらかさがなく、どのシーンでも間合いが悪く冗長、音楽ともシンクロせず、退屈。原作はアンデルセンの「羊飼いの娘とエントツ掃除人」。原作では磁器の人形ですが、ここでは絵の中の人物になっています。これに鳥と王を付け加えてなんとか物語にした代物。やぶにらみの王様は絵から飛び出た肖像画の王様に抹殺されますが、後にフォローもありません。これでいいんでしょうか?孤独で人間嫌いの王様が最後に人間らしさを取り戻すと要素があれば感動できたはず。太陽の当たらない「下層市街の市民」がライオンたちと一緒に地上に出てきますが、こちらもフォローなし。いいかげんな脚本です。国王の横暴から人民が立ち上がり、自由を取り戻すというサブストーリーはどこへやら。兵士と闘う場面があれば共感できました。小鳥たちと王の愛犬はかわいらしいですが、ストーリーにはからみません。鳥は妻を殺され、小鳥が殺されかけたこともあり、王様を憎んでいます。一方掃除人は小鳥の恩人なので二人の味方です。肖像画の王様は、巨大ロボットを操って二人を捕まえます。が、最後は逆に鳥がロボットを操り、城は必要以上に破壊し尽され、王様は追放されます。地下のライオンたちや市民を開放したのも鳥。鳥がこんなに活躍していいんですか?ここは娘と掃除人が活躍しなければだめでしょ。二人の恋が成就する物語なのですから、自分たちの力で解決すべきでした。二人は逃げ惑うだけ。せめて兵士や警察と戦いましょうよ。最後城ばかりではなく、町までも廃墟にしてしまったのはやりすぎ。誰も幸福にはなれないバッドエンド。人間には住む場所がないし、鳥の巣も崩落。結局鳥によりロボットが暴走しただけですか?何もかも放りっぱなし。心の浄化や成長といった要素がないと物語はつまらなくなります。鳥には王様に逆らうだけの気骨があり、知恵があり、口達者だというだけの話ですね。でもよく考えれば、鳥が憎んだのは暴君の王様であって、肖像画の王様ではないのです。別人ですよね。絵の王様は恋に盲目なだけ。王様を倒したという点では鳥の味方のはず。所詮鳥も愚か者。独自の世界観?とくにユニークさは感じませんでした。ロボットのデザインのセンスのなさには苦笑。社会風刺?皮相さしか見えてきません。この映画を推奨する高畑監督はセンスがないですよ。