2.《ネタバレ》 トーキー以降の映画界に新たな怪奇映画時代の幕開けをもたらした歴史的作品…とのコトですが、流石にもう100年近く前の映画なだけあってまずは極め付きに重いテンポ(とゆーか俳優の動作自体が総じてかなりスローモー)と、その「緩」に比してアクション含み等の「急」な場面が殆ど無いコト、そしてやはりホラーとしてはショックシーンを含めBGMが全く入らないのなんかも確実に観る側の「物足りなさ」には繋がってくるかと思います(劇伴自体は皆無というワケではねーのですが)。でも、セット・衣装その他のゴージャスさ⇒その醸し出す雰囲気の好さや、恐怖や狂気を描き出す俳優の演技自体のクオリティ⇒その見せ方とかだって思った以上にハイレベルで、なのでごく分かり易くそしてかなり面白く観るコトが出来たのは正直結構に意外でもありました。観て損した感じは全く無いですね。
まァ、その今作で一番観る価値が在るのは(当然の如くに)ルゴシのドラキュラ伯爵その人なワケです。全体的な佇まい・所作のエレガントさ+その中に含ませる絶妙な「色気」とゆーのは、一朝一夕に身に付けたとも思われない熟練の技巧だと感じられましたね。そして何よりもその「眼力」こそが今作のホラー部分を一手に担うとゆーか、コレも流石の超・迫力だったと思います。とは言え重ねて、今作のクオリティてのは原作の力+展開運び・演出の適切さも在ってのコトには違いないかと思います。翌年にもルゴシ主演(+同じく彼の「眼力」頼りというコンセプト)でゾンビ映画の始祖たる『恐怖城』が製作されましたが、コッチはソレだけではどーにもなってなかった…とは確実にそー思われるトコロであるのですし。