1.《ネタバレ》 軟体動物シリーズのラストを飾る本作、メガホンをとったのはまたしても増村保造です。いやー来てますねー、増村作品らしくもうドロドロなお話です。『でんきくらげ』に続いて川津佑介が出ていますが、前作と違って渥美マリを出世の道具に利用するニヒルなサラリーマンです。ハードボイルドな男みたいな感じですが、単に大根の渥美マリにレベルを合わせて省エネ演技に徹しただけなのかもしれません。彼よりはるかに強烈だったのが渥美マリの父親役の玉川良一です。どうしようもないぐらいだらしなくて狡猾なキャラですが、いかにも昭和40年代のダメ親父という感じは良く出ていました。ぼろアパートなのにでかいベッドが鎮座してる渥美の部屋がいかにもアンバランスな彼女のキャラを象徴しているみたいでした。 ヤクザの食い物にされかけながらも逞しく反撃する女というヒロインは、増村映画としては珍しいパターンかもしれません。ストーリー自体は語るほどのものでも有りませんでしたが、ちょっと哀愁が漂うテーマ曲が妙に耳に残りました。