1.《ネタバレ》 全体としては悪くはないし、観て損をした映画ではないのだけど、何か物足りない。実話をどこまで生かしたのかは分からないが、ひとつひとつのエピソードが孤立してしまっていて、個々人のエピソードが全体の流れから置き去りにされてしまっている。松江所長の人柄を表現するのに必要な会津藩のエピソードも、音楽が妙に重くなって、かえって、かったるく、重要な要素なのに、逆に物語の底を浅くしてしまっているような気がした。ラストも、松平とガンツを並べてちゃんちゃんでは、いかがなものかと思う。エンド・クレジットも、戦場のピアニスト同様、ベートーヴェンの第9で収めるのはいいとしても、ラストのラストで、カラヤンはないだろう。せめて、現存する当時の写真を持ってきて欲しかった。ナレーション役のヘルマン君が、随所でカメラ写してたシーンも、これでは全くの無意味。金返せ、とは思わなかったけど、あらゆるシーンで消化不良な作品だった。本当なら4点なんだけど、ドイツ兵捕虜役の役者達の頑張り(特に、トムクル似のオリバー・ブーツは良かった)にプラス1点。