1.「アップルシード」の時も感じたことだが、このタイプのCGアニメーションは特異なビジュアルに戸惑いつつ、なぜか感情移入していってしまう。
まあこれは好き好きの問題なのだろうが、明らかに作られた造形が逆に生々しい存在感を生む。
それは、人形浄瑠璃とかマリオネットとか、そういう古典的な人形創作劇の魅力に通じる部分のような気がする。
明らかな造形物に、魂を吹き込む。そういう古くから人間に与えられた“才”。その確かな存在を、この新感覚のアニメーションに感じるのだ。
映画のストーリーとしては、「超ハイテクによって鎖国状態に入った日本」という設定は物凄く興味をそそられ、10年間の鎖国状態から明かされる日本の実態の解明という流れで更に興味は膨らんでいく。
と、そこまでは非常に秀逸な大風呂敷を広げてくれるのだが、日本に入った途端に物語は収縮していってしまった。
舞台自体も強制的に閉鎖的になってしまいストーリーがイマイチ広がっていかない。
とんでもないことが起こっているのに、コトの真相が極めてパーソナル過ぎる。
相当に大規模な設定をしているのだから、いかようにも展開を広げていくことは出来たはずだと思う。
気が遠くなる程に作り込まれたアニメーションと、キャラクターたちの不思議な生々しさを携えた息づかいを前に、勿体なさを感じてしまったことは否めない。