5.1986年の、あの『ヒッチャー』という映画、あまりにも素晴らしいもんで、むしろ滅多なことでは再見したくない・・・となると、突然禁断症状を起こして、どうしても見たくなった場合はどうすればよいか、ですが、心配ご無用、そういう時のために、ちゃんとリメイク作を作ってくれているので、こちらを見ればよいのです。
・・・なワケないか。
トーマスハウエル(に相当する人)とジェニファージェイソンリー(に相当する人)とが、最初からいきなりバカップル状態になっている、とか、いくつかの些細な事(?)を除くと、気持ち悪いくらい、本家のストーリー展開に沿ってます。
しかし、あの“ジョン・ライダー”役、ルトガー・ハウアー以外の誰ができるんだよという例の“ジョン・ライダー”役は、勇敢にもショーン・ビーンが演じてて、いや~、度胸あるわ~、絶対、元映画のファンから批判されちゃうのにね~、と思いつつ、とにかくこの役を演じる人が変わると、映画の雰囲気が変わってきます。あの本家の、善vs悪を超越した絶対的な邪悪さの権化のようなジョン・ライダーに比べ、こちらは、普通にワルい人、といった印象。あまり超自然的なものは感じさせません。
そういうジョン・ライダーの超自然性も含めて、元映画は色々と不条理でイビツなところがありましたが、リメイク作では多少、手直しされています。やや唐突に現れていた、パトカーやヘリコプター。それを今作では、いくらか警察の目線を取り入れ、無線通信等でもって、そういう唐突さが出ないように何となく、説明が加えられる。
お陰でナンボかイビツさは解消しますが、ますます普通な感じの映画になってきちゃう。もともとが不条理なオハナシなんだから、説明すればするほど、野暮になってきちゃう。
あと、カップルの女性の方(一応、この人は主人公ということになるのかな)が、どうも上手くない。逃げる場面で、やたらモタつくような、いや逆に、モタつかなさ過ぎるような。二人で逃げるシーンってのは、これまでも映画の中でさんざん描かれてきたと思うのですが、実はこれ、演じるのが意外に難しい場面だったのでしょうか? 他にも、肝心な場面で視線が定まらなかったり。トレーラーの運転席で敵と向き合い、ドアを閉めるシーン、黒澤明なら、閉める時にドアの方を振り向くなっ、とか言って怒り狂いそうな気が。
そうこう言ってるうちに、点数が元映画の半分になってしまった。いや、何だか申し訳ない・・・