1.《ネタバレ》 宮廷音楽家のフォルテは魔法にかけられてオルガンの姿になってしまったが、そのことに満足している。音楽を自由に作曲、演奏できるし、野獣になった王子の心を癒せるのは自分だけだと信じており、王子との心の絆が強められるからだ。これは人間だった頃には皆から疎まれていたことが影響している。だからベルの存在が邪魔で、二人の仲を裂こうとする。王子にはベルの悪口を言い、ベルを黒い森へ誘い出す。自分の望みが絶望的だと悟ると邪悪な音楽を奏で、城を破壊し、二人を殺そうとする。最後は野獣に破壊されて死ぬ。元来、心が邪悪なのだ。みんなと利害関係が一致しないのは、心がねじけているから。■二人の間に強い愛が生まれるには、決定的な破局の後に劇的な出来事があればいい。本作の場合は、ベルが氷の湖に溺れているのを野獣が助ける。ベルは野獣の優しさを知るが、野獣はベルが約束を破って逃げ出したと考え、ベルを幽閉してしまう。この氷った心を溶いたのは、ベルのクリスマス・プレゼント。それはベルの書いた物語で、王子の孤独な心理が描かれていた。野獣は、最大の理解者を得たのだ。ベルは「本好きで賢い娘」という設定がよく活かされている。■ベルはフォルテの心を癒すことができなかった。フォルテは死んだが、誰も彼のことなど忘れてしまっているようだ。ハッピーエンドに見えて、そうではない部分もある。クリスマスの悲喜劇の物語。