5.漫画家水木しげるの貧乏話ですが、細かい描写や風景、陰影、小物にも昭和の空気感が良く出ていると思いました。映像のトーンがやや白茶けていて昔のカラー写真のようで、過剰な音楽や盛り上げ、説明的セリフ等がないのも好印象でした。ほぼ無音でセリフもないような場面が多いので、ドラマチックでテンポのある作品を求める向きには退屈で観てられない作品でしょう。
俳優陣はそれぞれ良かったです。特に主演二人は台詞が少ない中でだんだん夫婦が寄り添っていく感じを表情や所作で表現できていたと思います。昔は皆貧しく、忍耐強い女性も多かったのですね。あと割と普通の役柄だった編集者の柄本氏が妙に印象的でした。ただセリフが聞き取りづらかったり、意図的なのかもしれませんが現代の風景が写っているのが少々中途半端に思いました。