2.《ネタバレ》 主人公は「悪魔祓い」の欺瞞を記録に残そうとします。本作の体裁は、そのドキュメンタリー。エクソシストものとしては、新しい視点でした。
主人公もエクソシストですが、悪魔に憑依された人に「祓った」と思わせるだけで済んだ案件がたくさんありました。先人たちも同じことをやって来たと思っていたのでしょう。映像に残すことで、自らの「詐欺」を「人助け」として正当化したかったのかも知れません。
その彼が、ホンモノかも知れない案件と出会った時の動揺と対応が見どころでした。自分の肩書を忘れたかのように病院へ連れて行こうとします。その態度が滑稽です。でも、切羽詰まると演出用の小道具を仕込んだ十字架で対抗する。藁にも縋る思いだったのか、あるいは、信仰自体は失っていなかったのか。たぶんその両方です。
実際、あの少女がホンモノだったかどうかを含めて、本作は最後まで色々な部分をあやふやにしたまま進行します。多くのことを観る人に委ねているけど、この微妙な終わり方は嫌いじゃない。私の印象は限りなくホンモノに近いグレーです。まがい物のエクソシストが報いを受けるような安直エンディングで無かったことが嬉しい誤算でした。悪魔に憑依されたかに見える少女が不気味で、それなりに怖さも担保しています。