1.《ネタバレ》 音楽や撮影のレベルが非常に高く、さらにはヴァイオレントながら高尚な雰囲気作りにも成功しており、たった1シーンを見るだけで「この映画を撮った人間は只者ではない」と思わせるだけの異様な迫力に満ちています。両者を並べることはやや乱暴かもしれませんが、本作のニコラス・ウィンディング・レフンは、『天国の日々』を撮った頃のテレンス・マリックを思わせます。それくらいに、この映画は技術的に完璧なのです。驚きました。。。
ただし、監督は自分の手腕に絶対の自信をお持ちなのか、娯楽に対する目配せが一切ないという点が引っかかりました。言いたいことは分かるのですが、中盤がとにかく面白くありません。観客を無視して突っ走るという点においてもテレンス・マリックとの共通項を見いだせるのですが、この点については、もう少し柔軟であって欲しいと思います。桁違いの暴力が披露される序盤、そして、一行が流れ着いたのは新大陸だったことが明かされるラストのドンデンは面白いのに、中盤のつまらなさで映画全体の印象を悪くしたのでは勿体ありません。。。
なお、本作の同時上映にはマーカス・ニスペル監督の『レジェンド・オブ・ウォーリアー/反逆の勇者』をオススメします。少年時代にアメリカ大陸に流れ着いてインディアンに育てられたバイキングの男が、壮絶な復讐劇を開始するというアクション大作。本作の擬似的な続編としてどうぞ。