11.《ネタバレ》 事故の原因は機体の不備にあり、操縦士はむしろ神の如き手腕で多くの人命を救った。
事故調査という観点から判断するなら、それこそが事実であろう。
だが、そう単純にいかないのが人の世のリアルなのだ。
手柄を立てれば軍令違反も罪を免れる。かつてはそういう時代もあった。
しかしその時代ですら、私生活でも襟を正して行動しなければ、重用されないという暗黙の了解があった。今でもそう。それが社会。
だから、デンゼルがぶち込まれるのは社会通念上真っ当なのだ。これを受け入れられないと、エライ人はなにをしてもいいということにつながる。
依存症というものがいかに罪悪感のない罪悪であるのか、よくわかる映画だった。すごく社会派映画。
大暴れするデンゼルや周囲の人々の滑稽さでコメディ色が強いが、周囲は確実に不幸になっていく。
実は物凄くまじめなテーマなんだが、興行収入にもかかわるし、酒を飲むシーンはウケが良くないので予告では伏せてあったという。
そしてラストシーンは粛々と、テーマにふさわしく、努めてまじめに終わってしまうのだ。
デンゼルはムショに入ることで酒をやめろという周りの人の気持ちがようやくわかったから、変われたそうな。
デンゼルの心境が変化しているのであって、私の心境は初めから節度ないアルコールも薬物もノー、なのであるから。
私はそこ変わってないから、いい終わり方だなーと素直に受け入れられないのだ。必然上から目線になるでしょ?
さっきまで滑稽な扱われ方だったコパイ夫婦の神様依存症を今真剣なまなざしで見ることができない。笑ってしまう。変わらないんだ。
というとりとめのない感想になっちゃったけど、悪い映画ではないですよ。