1.《ネタバレ》 足を引きずる本木雅弘とか息子の写真とか、曰くありげな所作が出てくる度に、これからその因縁やら理由付けやらが
回想シーンとして沢山語られるのだろうなと、見ながら気が重くなる。
今さっき対策室で語られた作戦の段取りをマスコミの実況中継がそのまま繰り返すといった二重説明の氾濫も煩いばかりだが、
これは90年代劇場型犯罪の風俗史的描写でもあり、お囃子とでも受け取ればいいのだろう。
その実況中継カメラが映し出す本木の一瞬の視線を、尋問されている仲間由紀恵の横視線が受け止め、その彼女のかすかな動揺を
女性刑事が見切る。
そうした視線のドラマは割合充実していると云っていい。最後の手段を実行するためヘリに乗り込む江口とその息子、
連行される本木とそれを見送る江口の息子、彼らの間に交わされる視線はカメラに正対し真っ直ぐだ。
その視線の応答は、結部の東日本震災のシーンまでを貫く。
最後でこれまた自衛官リクルート映画か、とも思ってしまうのだが。