1.《ネタバレ》 自慢にならないがフェリーニという人の映画は見たことがない。
159分もある映画だが、何が言いたいのかがわからない。原作の方はまだしも何を問題にしているかが明瞭だが、この映画は変に小難しいのと、必要性が疑わしい不純物を含んでいるため素直に肯定できなくなっている。この世界はクソだとのことだがクソに交われば臭くなるのであって、クソを持ち出した時点でこの映画もクソの臭いを付けていることを自覚してもらいたい。
しかし一方で、主人公の存在がこの映画の価値を高めているのは間違いない。159分もある映画だが、この人を見ていれば何とか耐えられる。髪の毛を取り払ったことで細く長い首筋が引き立ち、またいわば顔が素っ裸にされたような感じになって、素材のよさをそのまま生かした奇妙で愛すべき少女像が表現されている(友達になりたいとは思わないが)。自分にとってはとにかく強烈な森川葵映画だったが、この女優本人は当然として、主人公の人物像をこのように作ったスタッフにも敬意を表すべきなのだろう。
また細かいことでは、主人公が左手で書いた文字が見事な出来で感心した。エンディング曲は誰が歌っているのかと思ったら主演女優が気の抜けた感じで歌っているのだった。
以上、全体としてあまりいい点はつけられないが、とりあえず主演女優、及びその母親役(の女子高生姿)に点を入れておく。自分としてはこの母親役の女優も結構好きだったりする(16歳、と本人が言ったところで笑ってしまった)。