4.《ネタバレ》 大して年齢は変わらないし風貌も似ている要素は皆無だけど、さすが二大名優、こうやって丁寧に演技されるとちゃんと血が繋がっているように見えるんですよね、ショーン・コネリーとダスティン・ホフマンは。祖父がスコットランド人でシチリア系と結婚し、その息子がユダヤ系と結婚して妻の両親と過ぎ越しの祭りを祝うという風景は、NYではいかにもありそうな感じがしていいですね。葬儀ではアイルランド系が集まって“ダニーボーイ”を合唱するし、人種の坩堝と呼ばれる街ならではの風景です。でも肝心のストーリー展開が盛り上がらないんじゃ、どうしようもないかなと思いました。監督したのは名匠シドニー・ルメットなんですけど、彼に期待を寄せた人には肩透かしを喰らった感が強かったでしょうね。彼が撮ったクライム系の作品は、すべて犯罪は失敗して報いを受けるという結末なのが特徴。そういう意味ではモラリストだったんでしょうけど、そんなルメットにクライム・コメディ調の作品を撮らせたってのは、やはり失敗だったかなと思います。肝心の盗みのシークエンスが、隠されていた裏事情を含めて奇妙なほどに盛り上がらない。いくら親子三代の絆がメインテーマだよと言われても、“盗み”でワクワクさせてくれなきゃあかんですよ。