1.《ネタバレ》 松田優作と岩城滉一がコンビ、この関係は『傷だらけの天使』のショーケンと水谷豊みたいな感じです。岩城滉一がおカマというかバイセクシャルであるという設定も似ていますね。でもこの映画の松田優作はとぼけたセリフ回しはしてますがかなりの悪人です。冒頭からヤクザの事務所を襲撃するのに必要な銃を調達するために爆弾騒ぎを起こしてデパート強盗をやらかします。相棒の岩城滉一がと事務所に突入すると、金庫のやばいお金にに目をつけていた志賀勝に先を越されて2000万円持ってかれてしまいます。これが縁でコンビを組んだ優作と志賀勝とのけ者にされた岩城滉一が、次の6000万円強奪を巡って三つ巴の争いを繰り広げるというわけです。 Vシネマのご先祖にあたる東映セントラルフィルムの作品ですから、緩いところは満載です。志賀勝がヤクザの車から逃げ出すところなんか、「そんな間抜けなヤクザはおらんやろ!」と遠慮なく突っ込ませていただきました。低予算なんでとうぜん街頭ロケ多用なんですが、すれ違った通行人が「今のは松田優作だ」とあきらかに気が付くリアクションまでそのまま使われていて、ほとんどゲリラ撮影だったみたいです。でも当時の東映セントラルの作品には欠かせないカー・アクションだけはなかなか力が入っています。主役とは言えないにしても、これほど志賀勝が活躍(?)する映画は初めてのような気がします。全体的にハードボイルドというにはちょっと圧が低いような感じですし、あの結末は予想外としか言いようがないもので、ある意味予測不可能なストーリーだったんじゃないでしょうか。 それにしてもあの東映セントラルのマークは久しぶりに観たけど懐かしいですね、場末の便所臭い名画座なんかでこのロゴを何回観たことでしょうか。青春の思い出です。