2.《ネタバレ》 皆さんの評価が高いのが驚きでした。。確かに出演陣も超豪華、各シーンも非常に素晴らしい出来でラストまで目が離せないのは事実ですが、でもこのおじいちゃんは何かが間違っているし、結局何が言いたかったのかよく理解できなかったというのが正直な感想です。
家族が大切だということはよく伝わりましたが、それは至極当たり前のことであって取り立てて加点につながるほど説得力があったとは思えませんでした。また、裁判で本人が反省し真摯に罪と向き合うことも素晴らしいことですが、これもまた正常な人間であればある意味当たり前のことです。むしろ89歳になって大罪を犯してから改心とかって完全に遅すぎ(手遅れ)でしょう。その彼が幸せそうに刑務所で花壇をいじっていても何も響きませんでした。
あと気になったのは家族の在り方です。おじいちゃんは犯罪で得た金で孫の結婚式を挙げ農園を買い戻した訳ですが、これは絶対に許されない行為、家族に対する最大の裏切り行為であるはずです。本来なら家族一同おじいちゃんに対してガッカリすべきところですが、この映画では終盤家族が一致団結しておじいちゃんを擁護してしまいます。まあ心境は判らなくもないですが、とても違和感がありました。
過去を振り返るとイーストウッドが作った映画で素晴らしいと感じたのは「許されざる者」「パーフェクトワールド」の時期までで、その後の映画はひどく退屈で小難しい理屈を並び立てるだけの映画しかなかったような印象です。本作もアメリカンスナイパーなどと同様、一見すると完成度が高いように見えて、実は価値観の押し付けが酷くまるで深みがない作品だったように感じます。(各シーンや全体の雰囲気は非常に素晴らしいのですが)