1.《ネタバレ》 聞くところによると、本作は実在の事件にインスパイアされた作品とのこと。監督は作品を通じて被害者の心情を代弁したかったそう。スタンスは極めてシリアスなワケです。問題は、井口監督のアクの強い作風。いやハッキリと言いましょう。グロくて、汚ならしくて、下品で、悪ふざけが過ぎる監督のやり口と、制作の志が合うかどうか。普通に考えれば絶対無理なのですが、奇跡的な化学反応が起これば傑作が生まれる可能性はあったと考えます。生ハムメロンとか、納豆カレーみたいに(すみません。生ハムメロンの良さは分かりませんが、カレーライスに納豆は合います!)。私は決して井口監督のファンではありませんが(失礼)、不本意ながら監督の力量は認めています(またまた失礼)。実際『スレイブマン』には撃ち抜かれていますし。ただ残念なことに、というか至極当然に、ミスマッチは解消されませんでした。最大の失策は事件に対する踏み込みが甘かったこと。やはり復讐物語を描くのであれば(完全フィクションで充分なので)、被害者の痛みや苦しみ、無念さを観客へきちんと伝える必要がありました。最重要ポイントを蔑ろにしたために、いつもの監督の味(下世話風グロ味)だけが勝る結果となってしまいました。(以下多分書かない方が良い余談。だって私に得は無いので) キャスティングをNGT48荻野由佳、尼神インター誠子、上島竜平さんに所々差し替えたとしても、私は違いに気付かない自信があります。