1.《ネタバレ》 シングルマザーに育てられているアリスとカレンの姉妹、母親は熱心なカトリック教徒で聖体拝領のミサに姉妹を連れてゆきます。姉のアリスは12歳ですが可愛いという感じからはほど遠いヒステリックな娘で、大人にちょっと卑猥な表情を見せたりするませガキです。妹のカレンは真逆の可憐な美少女ですが、嫉妬するアリスから日常的に虐められています。聖体拝領の列に並んでいたはずのアリスが行方不明になっているときに、黄色いレインコートを着てプラスチック・マスクをした謎の女(?)にカレンは絞殺され死体が燃やされてしまいます。警察や神父から“子供だけど危ない奴”と容疑者にされたアリスは精神科の児童施設にいれられてしまいます。果たしてカレンを殺めたのはアリスなんだろうか? 端的に言ってしまうと、マーヴィン・ルロイの『悪い種子』とニコラス・ローグの『赤い影』を足してスラッシャー映画に仕立てましたって感じです。公開当時話題にもならなかったけど、カレンを演じたのがブレイク寸前のブルック・シールズだったということでカルト的な評価に繋がったようです。開幕十分ぐらいで殺されちゃうから出番はとうぜんわずかだけど、確かに美少女ぶりは輝いていました。でも知って「えっ」と驚愕したのが、12歳のアリスを演じていたポーラ・シェパードが撮影時はなんと19歳だったってことです。たしかにませた表情をする子役だと思いましたが背格好には何の違和感もなく、恐るべきロリコン女優だったみたいです。母親役のリンダ・ミラーは、東宝の『キングコングの逆襲』でヒロインのスーザンを演じ、ほかにも東映の『ガンマ―第3号 宇宙大作戦』にも出演している日本の特撮映画と縁が深かった人です。 中盤で連続殺人の犯人はあっさり種明かししちゃうのでミステリー要素は薄いし、スラッシャー描写も70年代としても大したことはない(しかし刃物恐怖症の気がある人にはつらいかも)。でもこの映画で妙なインパクトがあるのは、主要キャラ以外のわき役たちの持つ変なテイストを強調した撮り方をしているところです。とくにほとんどベッドから出てこれない超メタボ大家、なんでこんなキャラ設定にしたのか意図不明です。たしかにここら辺には、『バニー・レークは行方不明』の影響も感じられます。そして聖体拝領のパンを口に入れてもらうために瞑目して舌を出している信者たちを映したカット、なんかグロテスクでエロティックな表情がならんでいて不謹慎極まりない。事件はすべて教会の周辺で起こっているし、教会というかカトリックに対する監督の悪意を感じてしまいます。 しょうじき犯人の動機はさっぱり理解できませんし、ストーリーテリングにもキレはない典型的なB級スラッシャーとしか言いようがありません。でもラストでアリスが見せる表情には、『オーメン』のダミアンを思い出してしまいました。