1.《ネタバレ》 (シュワちゃん主演の『コマンドー』のネタバレを含みます。未見の方はどうぞ名作『コマンドー』をご覧になってから、本文をお読みください)
本作の類似作品に『コマンドー』を挙げたいと思います。ご存じA・シュワルツェネッガー主演の大人気アクション映画。娘を拉致された主人公は、僅かな手がかりを頼りに敵のアジトを探り当て、武装集団を相手に単身大暴れします。主役をマッチョからお姉さんに、娘を妹に替えれば本作の出来上がり。ただしテイストは真逆でした。韓国製サスペンスはバッドエンドがデフォルトですが、それにしてもこれでOKなの?という感じ。何が気に入らないって『リアリティ』の扱いに一貫性が無いことです。例えば『コマンドー』にリアリティなど微塵もありません。娘の居場所の手掛かりは都合よく繋がりますし、最終的に一人で武装小隊を壊滅させます。あり得ないバカさ加減。でもバカが一貫しているので何の問題もありません。そういうルールのエンタメだから。ところが本作では、妹を探す過程は『コマンドー』以上にトントン進むのに、最後になって妙なリアリティを発揮します。バカでもシリアスでも構いませんが、ノリには統一性を持たせてください。また、カタルシスが無いのも問題です。感情の赴くまま行動する主人公に対して、普段ルールに縛られて生きている私たちは『憧れ』や『爽快感』を感じるもの。でもそれは目的達成が大前提です。目的が達成しなければ、どんな大活躍も『徒労』に変わります。骨折り損のくたびれ儲けは、実生活だけで十分です。救出劇の体裁になどせず、純粋に復讐劇の方がすっきりした気がします。