1.《ネタバレ》 チェット・ベイカーという、名前はよく聞くのに実像はあまり知らない人物にスポットを当ててくれたのはありがたい。しかし、活躍場面がそれほどあるわけではなく、ほとんどのシーンは、序盤早々に登場する大怪我からどうやって回復するかとか、その中で周囲に対してもかなりごちゃごちゃ言っていたりとか、その辺が中心です。ただ、それはいいとしても、問題は、主人公がさほど魅力的に見えないという点なのです。伝記映画でこれは割と致命的ではないかと思います。イーサン・ホークの演技も、いつもの伸び伸びぶりが窺えず、何か必死に実在の人物像を再現する方向に走っていたなあ。やはりイーサンは、名もなきキャラを自在に演じさせてこそ本領を発揮します。