1.《ネタバレ》 監督が大学3年の時に撮った自主製作映画だが、全体構成が面白いことと特撮を頑張っていること、及び怪獣映画への愛が感じられたことで悪くないと思った。こんな素人映画が現在まで残ってAmazonプライムビデオで公開されているのもわからなくはない。
ドラマ部分の撮影場所は、博多のカメラ専門店や九州大学が出ていたので福岡市ということになる。劇中の「神ヶ崎市」は製鉄都市とのことで北九州市、大学のある「岩城市」が福岡市に相当するらしい。なお九州大学には工学部と別に芸術工学部というのがあるそうで、なかなかユニークな人材を育成しているようである。
内容としては、ゴジラ型怪獣の襲来から後日談に至る一連の出来事が、レベルに差のある2系統で表現されている。
①劇中の大学生が学園祭用に制作したフィルム
おふざけレベルの演技と特撮(ミニチュア+パペット)、ただし怪獣の動きはけっこう生き物っぽく作ってある。
②劇中で実際に起きた出来事の描写
普通に素人レベルの演技と頑張った特撮(3DCGなど)、ここはリアルに作ろうとしている。力の入ったビルの倒壊映像と、山中から煙の上がる風景はなかなかいい。怪獣場面はほとんど夜で暗いのでよく見えないが、ディスプレイを明るくするとそれなりにできているのが見える。怪獣の足音とともに車を揺らしていたのもちゃんとできている。
全体構成としては導入部が前記①、本編が②、エンディングがまた①となって、なるほどそういうことだったかという感慨を残す。ドラマ的には、大学生4人は故郷の街(福岡市に相当)を守るために実際やれそうな範囲で奮闘したが、その功績が世間に知られることはなく、せめて①により記録に残した形になっている。怪獣対策の実行役ではなくカメラ担当の記録係を主人公にしたのは、怪獣よりも映像制作の方が重要テーマだったことの表れに思われる。
その他、映像に出た国土地理院の地図はなぜか高知県安芸市の山間部だったが(何で?)、ここはせっかくなので犬鳴トンネル(名所!)の辺の地図を使えなかったか。また夜の車中で、怪獣の足音が迫っているのにバカ話をしているのは本当にバカかと思ったが、これは恐怖を紛らわすためにあえてやっていたらしいことが結果的にわかった。好意的に読み取ってやろうとすることが大事だ。