5.《ネタバレ》 たまたま深夜に放送していたので見たけど、一発でSABU監督と分かる作品の個性はスゴい。
ただ、独自の世界観を作ってしまった事は評価できるけど、逆に、あまりにも各作品のノリに違いが無さ過ぎる。これは監督の作品を何作も見ている人なら誰でも感じる欠点だと思う。
脚本構成の基本がどの作品も、「平凡な主人公」が、「突拍子も無い事件に巻き込まれ」、「どんどん破綻した様相を呈していく」、というもので、その間に、各登場人物がお互いの心の補完をし合う人間ドラマが盛り込まれていくのもワンパターン。
今作もいままでの監督の作品とまったく同じノリ。メインキャラが毎回同じだから余計にそう感じられるのだろうけど、さすがに食傷気味。
途中のコンサートシーンや穴から手が抜けない強盗、幽霊との決闘など、何となく言いたい事は分かるんだけど、ちょっとおふざけが過ぎる感じ。各イベントの繋がりや必然性が薄いので、余計に見ていて散漫で冗長な印象になっている。
途中、良いシーンもあるにはあるけど、「犯罪者にも色々と事情があるんだなあ」って言う所で共感させようとするパターンで、これまた薄っぺらい。
こういう「あえてメチャクチャやる事で個性を出す」という時期はそろそろ卒業して、次回からはもう少し地に足の着いた脚本が見たい。監督の才能はこんなものではないはず。