1.朝日新聞社提供の映画って、なにか似たトーンがあり、この邦題もそれを示唆していてこわごわ観に行った。学者小僧なんてキャラクターにもオロオロさせられ、都会との対比の湖畔なんてのも、やんなっちゃうんだけど、でもこの湖畔に舞台が移ってからは、まあ映画に一応リズムを合わせることはできた。ヒロインがカメラに語りかける趣向。物語には人間関係をややこしくすることの愉しみってのがあり、「やれやれ」って気分がおかしみに移っていく。複数の父と複数の母たち。こういうふうにして家庭ってものが輪郭をぼやかして世間へ溶け込んでいくっての、これからの理想的な個人と社会の関係になっていくかも知れないなあ、なんて思った。ヒロインは2000年までに地球の3分の1が家族になるって言ってた。そうなっているようには思えないが、そういう義理の家族集団としての人類を想像できた20世紀末。