2.《ネタバレ》 サスペンスやホラー、ミステリーといったジャンルがアイデアや演出において、完全に飽和状態の昨今、何かしら作品として工夫をしようとしている努力の跡は感じる。そう言う意味でなら、その辺の凡庸なクライムサスペンス等に比べれば、はるかにマシ。
ただそれでも今作は褒められた出来とは言えない。<※以下、完全にネタバレです>
まず、他の方の指摘にもあるように、基本的なアイデアが「シックス・センス」や「ジェイコブズ・ラダー」辺りの模倣。上記の二作品を見た人なら、「大きな事故にあった主人公が、現実と非現実の境界を失っていく」という初期設定の段階で、嫌でも「あ~、もうこの主人公は死んでんじゃないの?」と思ってしまうし、その後の展開やオチも読める。そこをいかに外してくれるかを期待したのだが、結局は予想通りの終わり方。
また全体の脚本管理が少し雑で、記憶や時間の混交にも「メメント」のような必然性が無く、「所詮は主人公の精神世界の出来事なんだから」と言った感じで、中途半端に「何でもアリ」にしてしまっている。いくら精神世界の事とは言え、そこで起こる出来事には、それなりの意味やルールが無くてはならないだろう。
十年前に出ていたら斬新だったかも知れないが、こう言うサプライズありきの作品は、先例があると途端に凡作になってしまうから難しい。
もちろん模倣が悪いわけではないけど、出来れば、もう少し良い意味で予想を裏切る展開が欲しかったし、それをやる位の気概こそを見せてもらいたかった。