2.《ネタバレ》 平原児などと言うと、腰に毛皮でも巻いて草原をタッタカ走り回る子供をイメージしてしまうが、有名なバッファロー・ビルとワイルド・ビル・ヒコック、カラミティ・ジェーンの物語。
アメリカ原住民を征服した事については、それぞれの国の事情であるから、現在視点から非難するには当たらない。それよりも、敵側であるインデアンに最新の連発銃(ウインチェスター)を売ってしまうという、商道徳だ。
つい最近「民主的手法でナチスが政権をとった」と発言した政治家がいるが、こちらも負けずに考えてしまうのは、自由経済の枠組みの中で敵国と商売していることだ。基本的には国の掲げる自由主義に基づいているのだ。
そういう意味でこの映画は、今の時代の価値観と比べて随分と面白い。敵対組織に武器を売るのもそうだが、目の前で焼き殺されそうな同胞を救ったのに、より多くの同胞(だが軍人だ)に不利益をもたらした女を糾弾する、町の衆。これは、カラミティ・ジェーンがちょっと可哀相になったが、外敵と戦っている開拓民としては守護者の危機の方が公益だったのだろうなあ。だが、考えてみるとアメリカ映画の基本姿勢として、絶対に全体のために一人を犠牲にはしないんだよなあ。
ちなみにバッファロー・ビルの嫁は役に立たなかったのか、ちょっと気になってしまった。