1.《ネタバレ》 このシリーズの最終作品となる今作は監督がマキノ雅弘監督というだけあって、まるで同じマキノ雅弘監督の撮った別のシリーズ、高倉健主演の「昭和残侠伝」や「日本侠客伝」や「日本残侠伝」シリーズぽい雰囲気が最初からして漂う。マキノ雅弘監督らしいテンポの良さで見せてくれる反面、やはり「悪名」シリーズと言えば欠かせない田宮二郎の不在は物足りないし、勝新演じる朝吉が自分の頭を突き出して、どつけ!とやる所は確かにかっこ良いがラスト、殺された政吉(田村高廣)の敵討ちとばかりに乗り込む場面、あれって、まんま高倉健主演の任侠ものを勝新に置き換えて見せてるだけだと感じてしまう。そんな中にあって、津川雅彦のキャラ、あのしゃべり方は「次郎長三国志」シリーズの石松みたいで、森繁久彌ファンとしては監督からの石松への愛情みたいなものが感じられて嬉しい。 私も津川雅彦をもう少し見たかった気がする。マキノ雅弘監督以外の監督ならば7点、いや、8点付けてもとは思うけど、やはりマキノ雅弘監督作品としては物足りないので6点という低い点数になってしまう。最後に勝新主演によるこれとは別のマキノ雅弘映画ももっともっと撮って欲しかったし、見たい。