1.この監督さんは『荒野の用心棒』に関わってた方のようで、そういや確かに本作も、ちょっと似た感じがあります。主人公が一匹狼(これはまあ、マカロニの基本かも知れませんが)の賞金稼ぎで、何となく対立する2つの集団があって。ちょっと可愛げのある爺さんが中立的な位置に意味もなく配置されているのも、『用心棒』的な印象につながるところですが。
ただ本作、「2つの集団」ってったって、一方が銀行を狙う強盗団、もう一方がその狙われている銀行。主人公は用心棒として銀行の側についてるだけですから、もうひとつヒネリがない。いつまでこんなウサン臭い連中の味方にとどまってるんだ、この主人公は、と、観てて若干イライラしてきて、強盗団の方に少し肩入れしてきちゃいます。
冒頭20分弱くらいが前フリになってて、前フリにしちゃちょっと長すぎるワリに、この部分のエピソードが物語で活きてない感じがあるのですが、でもこの部分が一番、主人公がカッコいいところで、この後、主人公がたいして活躍しない。ゴロゴロしながらめんどくさそうにダイナマイトに点火するだけ、とか、いかにも横着なんです。それ以外のヒトたちは一生懸命銃撃戦やってるのに、ねえ。
最後だけは一応、タイマン対決、ですけど、これも何だか面倒臭そう。まあ、そういう、ちょっと得体の知れない主人公像、ってのが本作の特徴でしょうか。