2.《ネタバレ》 とんでもない発明をしてしまうのは物理学者の弟である。職にあぶれて女もいない。一方科学者の兄は立派な研究所の主任で将来有望、なおかつ美人の恋人がいる。それでも狂ってゆくのは兄の方という意外性。そして兄だからこそという丁寧な理由付け。さらには弟の発明が招いた事件を兄の発明したもので締めるという構成の巧さ。いやなかなか面白かった。途中から葛藤やら怨みつらみやらが置いてきぼり状態で兄はただの化け物と化してしまって物語的には面白みがなくなってくるのだが、4次元に生きているんだからたしかに無敵の化け物だ。かといってモンスターものとしては弱い。派手さもなければ怖さもない。科学の暴走の末の悲劇という王道に放射能の潜在的恐怖を加味したこの時代特有のSFホラー。