15.《ネタバレ》 「夏らしく、海の映画が観たい」という理由でチョイスした一本。
以前に観た時は「演出も脚本も凡庸だけど、主演がポール・ウォーカーというだけで大体満足」という評価を下した記憶があったのですが、改めて観賞してみると、ヒロインのジェシカ・アルバの存在感にも驚かされましたね。
「貴方と一緒なら、ボロでも幸せよ」「貴方が幸せなら良いの」なんて優しい言葉を掛けて、主人公にキスしてくれる姿を、冒頭から繰り返し拝ませてくれるのだから、何だか観ているコッチまで気恥ずかしくなる。
ここまで堂々とされると「男にとって都合が良いヒロイン像」なんてツッコミを入れるのも野暮に思えてきました。
作中で描かれる海の風景が、記憶に残っていた以上に鮮やかで美しかったのも、嬉しい限り。
ストーリーに関しては、正直色々と「ユルいなぁ」と感じる部分もあるのですが、海を舞台とした程好いリゾート気分、アドベンチャー気分を味わっていると、あんまり気にならないようになってくるから不思議です。
やや既視感のある展開ですが、海に眠っていた財宝が金塊ではなくコカインだったという導入部もキャッチーでしたし、ヒロインが空気を口移しキスする場面なども印象深い。
銃では無く銛を武器にして戦ったり、敵を出血させてサメを誘き寄せて攻撃させたりするなど、水中ならではのアクションが盛り込まれていたのも良かったですね。
終盤にて明かされる黒幕が、最初から嫌味な態度で主人公に接している奴だったので、特にショッキングな展開でもないという辺りも、何やらこの映画を象徴しているように感じました。
何というか、全てが「観客を不快にさせない予定調和の中にある」という感じで、安心して楽しめるのですよね。
裏切りの快感を与えてくれる映画も良いけれど、こういう安心させてくれる映画も、自分は好きです。
ヒロインは最初から主人公にベタ惚れで仲も良好である以上「喧嘩していたカップルが、命の危機を乗り越えて再び強く結ばれる」などのカタルシスは望めない訳で(彼女が死んで盛り上げる可能性もあるんじゃないかな~)と予想していたのですが、しっかりと生存してくれた辺りも良いですね。
予想が外れたはずなのに(そうこなくっちゃ!)と思えたりして、嬉しかったです。
「宝物はココにある」なんて気障な台詞と共にヒロインにキスをして、金銀財宝なんかよりも、ずっと大切なものに気が付いた主人公というオチかなと思っていたら、ちゃっかり財宝は財宝として発見しちゃう欲張りなハッピーエンドを迎える辺りも、妙に憎めない。
物凄く良い映画ではないかも知れないけど、自分としては希望通り、期待通りの映画でありました。