1.ジム・キャリーが本格的なダークサスペンスに挑む。これはとても期待が大きかった。
ジム・キャリーといえば絶対的なパフォーマンス能力に優れたコメディ俳優であるが、独特の風貌と、存在から発散される特異な雰囲気は、ダークサイドでも輝くと思っていた。
事実、「23」という数字に惹かれ、支配され、崩壊していく主人公を実に妖しく演じきってみせたと思う。
映画自体の雰囲気も非常に妖しく、美的かつ悪魔的な映像世界を創り上げている。
「23」という数字そのものに人間が支配されていくという発想はユニークで、シンプルだからこそ破滅的なストーリー性を持っていると思う。
ただ、そこまで主人公らがひとつの数字にこだわり、呪われていくそもそもの理由が今ひとつ明確ではないため、リアリティという面では事欠いた部分がある。
が、当たり前であるが、これは映画であり、根本的に創りものである。
描き出された世界に一貫したテーマ性と、空気感があれば、それで問題はない。