1.《ネタバレ》 少女たちの無邪気で短絡的なエロスはとても魅力的だし、渋谷の街並みにもエロスがあった。とくに沈黙するシーンでのこの監督の意図はいつも明確で、そのつどいちいち官能がある。ただし、少女たちにとても色気があったのに対し、大人たちのエロスは全然ダメ。少女にやすやすと振り回される若い教師はいささか馬鹿っぽい。そして残念ながら眞木大輔は演技が下手。のみならず、(ふかわりょうはともかくとしても)たとえばラブホテルのフロントや街角のミュージシャンに至るまで、登場する大人がいかにも幼稚。せっかく女の子たちがみんないい演技をしてるのに、彼女らを取り巻く大人たちには知性も陰影もなく、深みのある色気なんて皆無に近い。まあそれが今の日本の風景だといわれればそれまでだけど、現在の日本社会の欠陥は、映画表現にとっても根本的な欠陥にならざるをえないのでしょうか。