2.《ネタバレ》 移動撮影が、対象を追って動くというより回り舞台的な効果を狙っていて、特徴。こっちで何かしていて、それであっちのほうは…、というふうに、対象以外にヨソミをするような移動やパンなの。横に長い列車を行ったり来たりする、そのキョロキョロしている感じがちょっと面白い。インドでの子どもの葬式が終わって、帰りのバスを待っているところ、90度のパンで、前方、横手、後方、とキョロキョロ見晴らす。でそれがなんだ、と言われると困るけど、ちょっと面白かった。しかしあくまで「ちょっと」なのであって、一本の映画としては、私には物足りなかった。それぞれ疑心を抱きながらインドを旅する三兄弟って設定はまずくなく、もっと愉快に作れそうなのだが、下手に突っ込むよりオシャレにまとめるほうを狙う監督らしく、トボケた味の笑いをつないでいくだけ。でも最近の傾向ってこれなんだよね。サラサラした触感を重視する。やたらはしゃがれるよりはいいけど、物足りなくもある。でも好みの時代の変化じゃ仕方がない、とも思う。エンディングの「オー・シャンゼリゼ」は、冒頭の短篇にまたつながっている、と考えていいんでしょうか。ビル・マーレーは日本からインドと、ここんとこアジアを歴訪しているようだ。