1.寓話と納得するまでは、いったいこれ何の戦争なんだろうと考え込んでしまった。あえて現代風俗で描いたアルジェ戦かな、とか。そうではなくて、フランスから遠く離れたよその国で行なわれる抽象的な“戦争一般”だったんだな。だから当然アルジェも入ってるし、ベトナムを思わせるジャングルめいた場所もチラッと入った。フランスにとってはあんまり思い出したくない戦争の、混合された戦場。映画としての焦点の当てどころがもひとつ分からなかったんだけど、フランドルのみずみずしい田園と、乾燥した戦場との対比みたいなものは感じた。その間隙に、戦場の男と故郷の女の間にお互いに話せないことが生じてしまう。戦争とはそういうこと、って。行軍のパサついた感覚が、心のパサつきとともに、体感として記憶に残る。